REPORT オータパブリケイションズ主催/観光庁後援
「宿泊・外食産業リスクマネジメントシンポジウム」
週刊ホテルレストラン 2011年7月15日号 35-39ページ掲載


(株)オータパブリケイションズは6月15日、観光庁後援のもと、東京・六本木のグランド ハイアット 東京で「宿泊・外食産業リスクマネジメントシンポジウム」を開催した。
東日本大震災以来、国内の宿泊・外食産業は難局に立たされている。本シンポジウムは、こうした経営者が抱える課題を産業全体で共有し、そのソリューションを提案する場として企画・実施。当日は、日本全国から業界関係者約250人が参加し、日本の観光産業をここから復興させるべく、想いを共にした。
取材・文=本誌 橋本由香 撮影=KOUMEI
最悪のシナリオを描け

シンポジウムは13時から16時30分までの三部構成で、その後16時45分から情報交換会というスケジュールで開催された。会場には宿泊・外食産業のトップマネジメントを中心に、これらの産業にかかわる関係者約250人が集まり、何らかのビジネスヒントを得ようと熱心に聞き入った。
第一部では、「東日本大震災から日本が学んだこと―復興に向けて観光産業が担う役割とは―」と題し、森トラスト(株)の伊達美和子専務取締役がマイクを握った。
前半は、実際に4月初めに伊達氏が仙台を視察した際のレポートを、写真とともに紹介。市内では一部ビルの壁が崩落などしたが、マスコミの過大な報道によって、宮城県全体が壊滅的な被害を受けているような誤解があると指摘。ウェスティンホテル仙台が含まれる同社の「仙台トラストタワー」や、複合オフィスビル「仙台MTビル」などはまったくの無傷で、仙台トラストタワーにいたってはびくともしなかったことを強調した。
伊達氏は、通常の超高層建築物に求められる1.5倍の耐震性能を実現したことが、テナントに対し高い事業継続性を実現することになり、結果的にそれが信頼につながったとし、「経営者としては、常に想定以上の最悪のシナリオを考えることが必要です。日本人はこうした発想をネガティブだと批判しますが、“最悪”を追求することこそが信頼や長期的な企業の安定につながるということが今回実証されたと思います」と語った。
また震災後の動きとしては、中止が検討されていた「仙台七夕まつり」の再開に向け奔走した経験や、東北地方の食材・商品をアピールする活動などを報告。「日本のブランドはゼロに戻ったと言っても過言ではありません。ではそのブランドが自然に回復するまで待つのですか。これを機に、民間としてできることが何かを真剣に考えなければいけません。これまでは“運営の知恵”だけでやって来られたかもしれませんが、今後は周辺産業を巻き込んだ“需要創造の知恵”が必要です」と締めくくった。いかに視野を広く持ち、エリア全体の観光振興に寄与していくか。これが経営者には求められているのだ。

