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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第33回 ブランド価値を作る

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 観光庁では、地域の皆さんに対してさまざまなノウハウの提供や人材の紹介をしています。地域の皆さんとお話していると、「こんなにおいしい○○があるんです」とアピールされるのですが、おいしいものはどこにでもあるのです。そこで私は、「有名なシェフを紹介しますから、これで名物料理を作ってもらったらいいと思いますよ」という提案をします。そうすることでブランド価値が作られるからです。ワインに自信がある土地の皆さんにはワイン通の芸能人もご紹介できます。彼らに「おいしい」と言ってもらうことで価値がつくからです。そうやって、ほかにはない価値を生まないと、消費者の目は向きません。

 熱いお湯がぐつぐつと湧(わ)く土地があって、そこの皆さんに「広い温泉でも作ろうと思うのですが、どうですか」と尋ねられ、私は「そういうのはドイツなどにたくさんあります」と答えました。それを本当に目指すのなら、高い目標を持って調査・研究する必要があります。ドイツにも行って視察すべきでしょう。付け焼刃のアイデアでやってはだめです。無駄な投資になってしまいます。

 これから世界に視野を広げ、海外のお客さまに来ていただくには、今までのように国内だけでなく海外の事例も研究して、ほかには負けないような価値を作り、そしてそれをさまざまな形でPRする必要があります。

 市場には常に変化を加えてPRしていきましょう。同じものを同じようにPRしていたのでは消費者は関心を持ちません。そして、リピーターを大切にすることです。震災以降このような状況ですから、私は外国人客が来た際、「来てくれてありがとう」というような、小さなカードのような感謝状を渡してもいいと思います。

 先日、中国の留学生350人とお会いする機会がありました。私は、「日本に来てくれてありがとう」という気持ちをこめて全員と握手しました。壇上でスピーチをするより、一人一人と握手をした方が伝わります。日本に来てくれたことに対して感謝し、それを心から表現するコミュニケーションが必要なのです。これはすべてのサービス産業に共通しています。一つのアクションを起こすとき、いかに想いを伝えるかが重要です。情報プラス想いを伝えることが大事なのです。

※次のアップは、12月4週に「第35回」を予定しております。

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