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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第29回 観光地域プロデューサー

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 先日、兵庫県豊岡市の中貝宗治市長と、同市内にある城崎温泉の老舗旅館「山本屋」を営む高宮浩之さんとお会いしました。

 城崎温泉では今、街を挙げて新たな取り組みを始めています。もともと城崎温泉では旅館のゆかたで飲みに行くとツケがきき、翌朝旅館で一括清算できるシステムがあるのですが、このシステムをヒントにデジタル外湯券「ゆめぱ」を導入。おサイフケータイやICカードで「ゆめぱ」を読み込めば、外湯の入浴、お買い物、観光スポットの音声ガイダンスなどが楽しめるという画期的なシステムです。

 こうした環境が整うと、それまで旅館の中だけで楽しんでいた人たちが温泉街を歩き回るようになり、次第に街全体が活気づいたと言います。まさに、点から線へ、線から面へと展開し、成功した事例ですね。

 いまの日本には、こうした「街づくりを含めた経営改革」が必要です。素晴らしい観光資源を持っていても、その資源の魅力を引き出し、商品にし、融合させなければいけません。商品を陳列するだけでなく、そこにサービスを付加し、よりクオリティーの高い観光エリアをつくらなければ差別化は図れないのです。

 そのためにも、点をつなぐ“プロデューサー(コーディネーター)”が不可欠です。頭が良くて起承転結でモノを考えられる人材。そして成功イメージを明確に描ける人材です。

 高宮さんは、このシステムが完成する前から、温泉街を楽しく行き交う外国人の姿を頭に描いていたそうです。イメージは、夜のフィレンツェの街。そこに近付くためには何が必要かを想像し、最終的に今のシステムができあがったのです。大切なのは成功イメージを持つことであると、改めて感じさせられました。

 高宮さんのような観光プロデューサーの育成は急務です。観光庁でも、地域の観光振興のけん引役となる人材を欲している地域と、観光地域プロデューサー希望者とのマッチングを促進する事業などを進めてきました。

 その地域に誇りと愛情を持ち、広い視野で地域の観光振興に情熱を傾けられる人。こうした人材が今後日本国内に増えていくことを期待します。

※次のアップは、10月4週に「第31回」を予定しております。

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