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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第27回 新成長戦略

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 震災後、政府が掲げる「新成長戦略」の項目整理が検討されています。
「新成長戦略」が策定されたのは昨年6月。その七つの柱(大項目)の一つに「観光」が入ったことは、観光立国を進めるにあたって非常に大きな追い風となりました。

 しかし、3月の大震災以降、日本のプライオリティーは「復興」や「新エネルギー」にシフトしています。そのため、新成長戦略の内容の見直しが行なわれており、現実的に考えて「観光」が大項目から外れる可能性が出てきたのです。ただし、成長戦略から完全に外れるわけではなく、大項目から中項目くらいになりそうだ、という状況です。

 この件で、各所からは今後を懸念する声も出ています。しかし、考えてみてください。「観光」が新成長戦略の大項目か中項目かによって、日本へのインバウンド数が劇的に変わるものでしょうか。世界の国々への日本のブランド浸透に大きな影響を与えるものなのでしょうか。私はペーパー上の問題を議論し、一喜一憂するよりも、現実に自分たちがどんなアクションを起こしていくかが重要だと思います。実際、新成長戦略に盛り込まれることよりも、一般誌や新聞やニュースで取り上げてもらう方が断然効果が高いですよ。

 私は、「観光」がどの項目になるかが大事だとは思っていません。いかにして国民の皆さんに旅をしようという雰囲気になっていただけるか、それが大事なのです。私たちは紙の中の話をしているのではなく、皆さんの心を動かそうという話をしているのですから。

 予算についても同じことが言えます。予算が増えたからと言って、勝手に観光客が増えるわけではありません。外客誘致の予算が増えることよりも、日中韓首脳会談で観光の話が出たことの方がよっぽど経済効果は高いでしょう。

 新成長戦略で「観光」が中項目になろうと、予算が削られようと、できることがなくなるわけではありません。今まで以上の効果を発揮するための知恵をひねり出せばいいのです。観光産業に携わる皆さんには、紙面だけではなく、日々起こる一つ一つの動きの中で真の効果を判断していただきたいと思います。

※次のアップは、9月4週に「第29回」を予定しております。

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