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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第23回 一刻を争う

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 今回の震災の影響で、地方の観光地は危機に瀕しています。温泉が湧かない、建物が崩壊したといった実質的な被害だけでなく、その風評被害が深刻なのです。

 私も休みを利用して会津若松に行ったのですが、今まで修学旅行生や観光客でにぎわっていた町は閑古鳥が鳴いていました。しかし、そんな中でも死に物狂いになって復興に臨む地域の方々を見て、これを機に真の観光地としての基盤が作り直されているのだと感じました。

 観光庁長官である私の使命は、観光という日本経済の成長の柱を担うことですが、それ以上に大事なことは観光にたずさわる経営者や従業員、そしてその家族を守っていくことだと思っています。

 私も中小企業の社長をやってきたので、売り上げが2カ月3カ月上がらなかったらどうなるかというのは痛いくらい分かっています。だから、一刻も早く観光客を取り戻さなければいけない。

 今の状態が長期化すると、観光立国を支えている人たちが路頭に迷うことになります。それは日本の観光立国の基盤が崩壊することであり、日本経済の重要な柱が1本なくなることなのです。

 津波があったタイでは、観光客が戻るまでに一年かかったと聞きました。でも、私は一年も二年も待っていられません。一分でも一秒でも早く復活しなければ、観光業を支えてくれている方々を守れないのです。

 私はその焦りから、いつもの何倍も働き、全国を飛び回っています。毎日が必死ですよ。それが、私ができる支援の形だと思うからです。

 だから、観光に携わっている皆さんも、ぜひ前向きに必死にやってほしい。愚痴をこぼしているひまはありません。人に夢を売り喜びを与える仕事をしている人が不平不満を言うもんじゃない。そんな場所にお客さまは戻って来ないですよ。一に営業、二に営業。いつもの何倍も働かないと、この異常事態は脱せないでしょう。

 ニュースや新聞で「客がいなくて大変だ」と嘆く旅館の経営者を見ます。その一言が風評になっているんです。いま必要なのは前向きな言葉。「こんなときだからこそ最高のサービスをお客さまに提供したい」という言葉です。

 誰かに頼るのではなく、まず自分がやる。その気持ちが大事だと思います。打つ手は、必ずあります。

※次のアップは、7月4週に「第25回」を予定しております。

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