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  1. 観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

観光庁長官 溝畑宏の観光大和魂

第17回 外への進出、内への参入

※本誌『週刊ホテルレストラン』毎月2・4週に連載中

 前回に引き続いて、もう少し加賀屋の話をしたいと思います。
昨年末に加賀屋が台湾に進出したように、日本のホテルや旅館にはもっと積極的に海外に進出してほしいと思っています。

 日本のおもてなし文化は、世界的に見ても非常に素晴らしいです。その優れた"技術"を海外へ輸出する。そして、海外で日本ブランドを使ったお客さまが、「こんなに素晴らしいサービスがあるのなら、本家本元である日本にも行ってみよう」と思う。この循環ができあがればいいですね。日本の素晴らしさを知らせる場は、何も日本である必要はないのです。海外にも、日本の素晴らしさを発信する拠点を設けてもいいのではないでしょうか。

 さて、こうした"外への進出"と同時に、私が推奨したいのは"内へ参入"です。ホテルや旅館といった業界に異業種が参入してきたり、海外の企業が参入してきたりすると、新たな価値観と既存の価値観とがぶつかり合い、化学反応が起こります。そうすると、互いの競争力が高まり、より高いクオリティの商品やサービスが造成されるのです。

 サービス業というのは、「人に幸せを与える」という感性のビジネスだと思います。そのため、サービス業に携わる人には、日々感性を磨きながら、価値観の多様性を知る必要があるのです。

 どんなサービスを受けたいかは人それぞれ。細かい気配りを求める人もいれば、邪魔せずゆっくりと時間を楽しみたいと思う人もいる。その点、加賀屋のサービスは非常にフレキシブルですね。お客さまを見ながら、あらゆる対応を変えている。そういうことができるのも、女将さんや仲居さんがさまざまな価値観を理解し、感性豊かにお客さまの気持ちを読み取っているからです。

 いろいろな体験をした人がこの業界に参入してくれば、それだけ刺激が増え、自分たちの幅が広がっていきます。この業界は、感性があって、遊び心があって、人生を楽しもうという意気込みを持った人でなければ働けません。自分が楽しくない人に、人を楽しませることなんてできませんから。

 新たな場所での勝負と、新たなライバルの出現が、日本のホテルや旅館を強くしていくのだと思います。
(2月4週号より)

※次のアップは、4月4週に「第19回」を予定しております。
 「第18回」は、ホテレス本誌3月11日号をご覧ください

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