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  1. 世界のリーディングホテル

VOL95 ラ・ミランド, アヴィニョン La Mirande, Avignon

週刊ホテルレストラン 2015年5月15日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 アヴィニョンと言えば真っ先に浮かぶのがアヴィニョン教皇庁であろう。14 世紀初頭にカトリックの総本山であるローマ教皇庁がアヴィニョンに移され、以来68 年間にわたり教皇庁として機能していた。「La Mirande」はそんなアヴィニョンのシンボルである教皇庁宮殿の真裏に位置するという、これ以上ない風格ある場所に建っている。17 世紀には枢機卿の邸宅であったという由緒正しき建物を、1990年にホテルに改装したもので、まるで美術館のような華麗な貴族の館である。アンティーク家具や古美術絵画などの調度品を惜しみなくそこかしこに配し、18世紀ルイ16世様式の気品ある雰囲気に、滞在するだけで往時の気分に思いをはせる満足感に浸れる。

 アヴィニョンは南仏プロヴァンスの中心都市で、教皇庁宮殿はヨーロッパ最大のゴシック宮殿と言われる。いわゆる“ アヴィニョン捕囚”(教皇のバビロン捕囚)は、1309年から77 年に教皇グレゴリウス11 世がローマに戻るまでの7 代68 年間にわたってこの“捕囚”が続いた。この間、アヴィニョンは事実上の「キリスト教世界の首都」となっていた訳だ。

“オテル・パティキュリエール”、これは個人のお屋敷を意味する言葉だが、枢機卿の邸宅であったラ・ミランドは、教皇庁宮殿の裏手にひっそりと建ち、ホテルの名も入り口に小さく記されているだけで、知らなければ通り過ぎてしまう。筆者にアサインされた部屋は約45㎡の広さを持つ「Grande Deluxe Room」で、部屋全体がカラフルなプロヴァンス柄のファブリックで装飾され、女性的でエレガントな雰囲気が印象的だ。ホテル建物の中心に「Living Room」があり、天窓から注ぐ陽光で明るいラウンジはアフタヌーンティーでにぎわっている。食事ではミシュラン1ツ星レストラン「The Restaurant」があり、アヴィニョンでいちばんと評判の本格派のフレンチが堪能できる。また、クッキングスクールも併設されており、伝統的なフランス料理のレッスンを英語で受講でき、海外からの受講生も多い。朝食は専用の「Breakfast Room」を用意しており、教皇庁宮殿を望みながら優雅なひと時を楽しめる。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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