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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL86 ホテル ダングレテール Hotel D'Angleterre

週刊ホテルレストラン 2014年12月26日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 “コペンハーゲンの白い貴婦人” それがホテルの愛称である。1755年創業のヨーロッパ最古のホテルの一つであり、デンマークを代表する世界でも屈指の名門ホテルだ。ホテルの名は「Hotel D’Angleterre」。コペンハーゲンの中心広場「Kongens Nytorv」に白亜の城のような外観が目を引く。清楚にして繊細な意匠が施された建物は、アンデルセンを生んだ童話の国コペンハーゲンにあって、ひときわ美しく輝いて見える。2013 年5 月に2 年にわたる大規模改修を終え、一般客室よりスイートの方が多い贅沢な構成で、よりエレガントなホテルとして再オープンした。

 ダングレテールの歴史は、若いカップルが質素なレストランを1755 年に開業したことに始まる。宮廷使用人であったJean Marchal と宮廷料理人の娘Maria Coppy が恋に落ち、ほぼ現在地の場所に二人が開業した店をホテルの公式な創業としている。二人の死後、レストランは「English Club」の経営者であるGottfried Rau に買い取られる。レストランを引き継いだ彼のクラブは宿泊も兼ねていたため、“ 英国のホテル” をフランス語で示す「HotelD’Angleterre」と洒落て名付けたことがホテルの由来である。

 ダングレテールは30 の客室と60 のスイートから成る余裕のレイアウトで、二つとして同じ部屋はないと言われる。

 筆者にアサインされた部屋は「Deluxe One-BedroomSuite」で、部屋の中心にバスルームを置き、両側にリビングとベッドルームを配置したコンテンポラリーなデザインだ。メインダイニング「Marchal」はホテル創業者の由緒ある名前を冠した、ミシュラン1ツ星レストランである。変わった所では、デンマークで最初となるシャンパン・バー「Balthazar Champagne Bar」が別棟にあり、連日にぎわいを見せている。今回の大修復で生まれ変わったスパ「Amazing Space d’Angleterre」は地元のセレブリティ―に人気で、市内のホテルで唯一のスイミングプールもクールな魅力を放っている。特筆すべきはブレックファストで、壮麗なボールルーム「Palm Court」を会場として、シャンパンも追加料金を取らずゲストに用意している。

 コペンハーゲンの「Kongens Nytorv」は“ 王の新広場”と訳され、旧王立劇場などが建ち並ぶ中心広場である。そこに白鳥が翼を広げたような姿で建つダングレテールは市民の自慢の一つだ。250 年以上前の創業者を称えて冠したメインダイニング「Marchal」を誇りとし、“ 英国のホテル” をフランス語で呼ぶ「Hotel D’Angleterre」をこよなく愛する姿勢が伝わってくる歴史的名門ホテルである。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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