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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL85 グランドホテル オスロ Grand Hotel Oslo

週刊ホテルレストラン 2014年12月12日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 北欧ノルウェーの首都オスロは、中央駅から王宮まで延びるカール・ヨハン通りを中心にコンパクトにまとまっている。1874 年に創業したグランドホテル「Grand Hotel Oslo」は、通りのほぼ中心に位置する国会議事堂前の好立地に華麗な姿で佇んでいる。オスロのランドマークとして140年にわたり伝統と格式を誇る名門ホテルとして君臨し、ノルウェーを代表する劇作家イプセン、画家のムンク、探検家ナンセンやアムンゼンなど多くの著名人に愛されて来た。ストックホルムにある同名のグランドホテルとは提携関係にないが、ノルウェー全土及びスウェーデンにホテルをチェーン展開している「Rica Hotels」の旗艦ホテルでもある(本誌Vol.84、Grand Hotel Stockholm 参照)。

 オスロは一見内陸にあるように見えるが、外洋から100kmほど入ったフィヨルドの奥にある。街を歩くと、これが一国の首都かと思うほど緑多き閑静な港町だ。毎年12 月10日にノーベル賞授賞式が開催されるが、ノーベル平和賞だけはストックホルムとは別枠としてオスロ市庁舎で開催される。平和賞授賞式の際には、受賞者とその家族はグランドホテルに宿泊し、ホテルのバルコニーから街で祝福する人々に手を振ることが慣習として受け継げられている。

 グランドホテルは54 のスイートを含む全292 室のゲストルームを擁すオスロ屈指の老舗ホテルである。筆者にアサインされた部屋は26 室ある「Junior Suite」の一つで、美しいカール・ヨハン通りと国会議事堂を望む約45m²の部屋だ。メインダイニング「Palmen Restaurant」は、NY のザ・プラザにある有名なレストラン「Palm Court」を彷彿させる天井のステンドグラスが特徴である。カール・ヨハン通りに面した「 The Grand Cafe」は、劇作家イプセンが足繁く通ったと言われ、ホテル開業時からオープンしている人気のカフェだ。新館のトップフロアにあるスパ「ArtesiaSpa Grand Hotel」は七つのトリートメントルームを持ち、スイミングプールと屋外デッキが気持ち良い。また、歴史的ホテルでは珍しいルーフトップのバー「The Etoile Bar」がスパに隣接して人気を博している。

 グランドホテルはオスロがまだクリスチャニアと呼ばれていた時代の創業から今年140 周年を迎えた。この間もホテルは確実に進化を遂げ、前述のルーフトップのスイミングプールやヨーロッパで最初に開設され、フェミニンな優しさでデザインされたレディースフロアなどユニークな施設がある。今年もノーベル賞の季節がやって来た。北欧の大地に君臨する名門ホテルは益々輝きを放ち始める。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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