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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL81
アルカディアホテル ブラチスラヴァ Arcadia Hotel Bratislava

週刊ホテルレストラン 2014年10月10日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 最近になってドナウ川沿いに新設された数軒の大型ホテルを除き、ブラチスラヴァ旧市街で唯一の5ツ星ホテルであり、しかもLHW 加盟のブティックホテルというユニークなホテルである。「Arcadia Hotel Bratislava」は旧市街中心部にある13世紀に建築された歴史的建造物を修復して、2007 年にホテルとして開業した。ホテルファサードは往時の面影を色濃く残し、クラシカルなアーチ型の控えめな玄関やガラス天井が美しい吹き抜けのエントランスホールなど、小規模ながら印象的な高級ホテルだ。

 スロバキアは、かつてはチェコスロバキアを構成する一連邦共和国であったが、1993年の連邦制解体により主権国家「スロバキア共和国」が誕生し、ブラチスラヴァは名実ともに同国の首都となった。ドナウ川に面した人口43万人程の小都市だが、その歴史は古く、250年近くもハンガリー王国の首都となり、マリア・テレジアを含む歴代のハンガリー国王・女王の戴冠式が聖マルティン大聖堂で行なわれた。ハプスブルク家のウィーンに最も近接した首都でもあり、両者の関係は古くから密接で、チェコのプラハとは趣がやや異なる。

 アルカディアは20の客室と13ものスイートを加えた、わずか33室の贅沢な客室構成である。館内に一歩入ると、クラシカルな吹き抜けのエントランスホールが広がり、ガラスの天井から淡い陽光が差し込んでいる。筆者にアサインされた部屋は「Maisonette Deluxe Suite」で、最上階にあるメゾネットタイプのスイートだ。約70m²の広さを持ち、1 階は暖炉を備えた重厚なリビング、2 階にスタイリッシュなベッドルームを配置している。エントランスホール正面にメインダイニング「L'Olive」があり、スロバキア伝統料理に現代の要素を取り入れたスタイルに評価が高い。その他「Library Bar」など心地良い空間をゲストに提供している。特筆すべきは「The Arcadia Spa」だ。13 世紀当時には拷問に使用されていた部屋を改造したもので、現在はトリートメントルームとトルコ風スチームサウナのある、快適なリラクゼーション施設となっている。

 アルカディアは旧市街の歩行者専用地区にあり、歴史の重みを感じさせる石畳の路地にひっそりと佇んでいる。ランドマークのブラチスラヴァ城をはじめ、聖マルティン教会やオペラハウスなど、市内見所のすべては徒歩圏内の利便性を誇る。ブラチスラヴァを訪れるセレブリティ御用達の隠れ家ホテルとして、開業以来スロバキアの首都に新たなレベルの贅沢を開花させたと言えよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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