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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL80
マンダリン オリエンタル、プラハ Four Seasons HotelPrague

週刊ホテルレストラン 2014年9月26日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 スメタナの交響詩『わが祖国』から「モルダウ」の旋律が流れて来そうなプラハ最古の「カレル橋」を渡ると、左手にマラーストラナ地区と言われる石畳の美しい閑静な住宅街に出る。その一角に「Mandarin Oriental, Praque」はひっそりと佇んでいる(以下、MO/P)。周囲を塀でぐるりと囲み、ホテルと言われなければ気が付かない風情である。14 世紀、ドミニコ修道院として使われていた建物が、その外枠や柱などを残し全面的に改装され、スタイリッシュな高級ホテルとして蘇った。館内にはアーチ型の窓枠や丸い支柱、天井の高い回廊が残され、かつて修道院だったという歴史が随所に残されていて興味深い。

 マラーストラナ地区はプラハ城の南側一帯に広がり、“小地区” または“城下町”とも訳されている。17 世紀から18 世紀にかけて貴族たちが競って宮殿を建て、その多くが現在も政府の官庁や各国の大使館として利用されている。実際に、ホテルに隣接してデンマーク大使館があり、その隣に日本国大使館が菊のご紋章を掲げている(プラハについては本誌Vol.79 フォーシズンズ プラハ参照)。

 MO/P は2006 年に東欧で最初のマンダリンオリエンタルとして開業し、20 室のスイートを含めて全99 室のゲストルームを擁している。両側にマンダリンの「扇」マークが掲げられた趣ある門を抜け、庭園アプローチを進んで行く。館内は歴史的な修道院の面影と現代コンテンポラリーなデザインが不思議な感覚で融合されている。筆者にアサインされた部屋は「Deluxe Room」で、約40m²ある角部屋の気品ある造りだ。ちなみに、すべてのゲストルームは異なるデザインで構成されていると聞く。レストランはモダン・チェコ料理とアジアンテイストの「Essensia」があり、隣接してメインバー「Barego」を用意している。特筆すべきはスパの「Spa at Mandarin Oriental Praque」であろう。かつては礼拝堂であった建物を改装した世界唯一のスパというユニークな空間である。確かにメイン棟から少し離れた高台にぽつんと建っており、例のマンダリンスパのロゴマークがなければ気が付かない。

 MO/P はこの歴史的建物の保存に目に見える形で応えている。例えば、スパのエントランスホールに一部ガラスの床があり、その下にライトアップされた14 世紀の教会の土台部分がディスプレイされている。また、レストラン「Essensia」の地下部分にも修道院時代の地下室が残され、今も地下ダイニングやワインセラーとして活用されている。歴史の時空を超えた興味深い高級ホテルと言えよう。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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