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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL76
シャルク ビレッジ&スパドーハ カタール Sharq Village & SpaDoha Qatar

週刊ホテルレストラン 2014年7月25日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 カタールのドーハに、まさにアラビアンナイトの世界を彷彿させる異国情緒豊かな高級ホテルが誕生した。その名は「Sharq Village & Spa」で、リッツカールトンが運営を担当している。アラビア湾に面して建ち、カタールの首長(シーク)の壮麗な宮殿を模したエキゾチックなホテルだ。館内はカタールの歴史を築いて来た漁師や真珠取り、アラブ商人らのコミュニティーをモチーフにして興味深い。シュロやナツメヤシなど生い茂るホテル敷地内にアラブ風の曲がりくねった通りや路地がめぐらされ、緑が映える芝生にはプールや、涼しげな噴水が配置されている。

 “ドーハの悲劇” で日本人にはなじみ深いドーハは、カタールの首都であり2022 年のW カップ開催地でもある。街は再開発工事の真っ最中で、既に多数の超高層ビルが林立しており、まるでドバイのコピー版の様相を呈している。しかし、つい近年まで中東の一寒村であり、古くより真珠の採取が主要産業であった。1930 年代に日本で真珠の養殖が開発されると、カタールの真珠産業は壊滅し不況で飢餓まで起こったと言われる。後に石油や天然ガスの採掘に成功し、今日の発展に繋がったのはご承知の通りである。

 シャルクビレッジは2007 年にオープンし、スイートを含めて174 室のゲストルームを擁している。広い敷地内に白壁のアラビア風ヴィラ棟が点在し、各ヴィラ棟にはそれぞれ中庭を配して、15-16 の客室が割り当てられている。筆者にアサインされた部屋は「Deluxe Resort View Room」で約48m²の広さがある。手織りのカーペット、ペルシャのランタンなど華麗なアラビアンの調度品に満足する。各部屋にはゆったりとしたバルコニーが付随し、美しい芝生の庭園とプールが望める。ホテル内には6 か所のバー、レストランが有り選ぶのが困るくらいだ。お勧めしたいのはスタイリッシュなペルシャ料理「Parisa」と、フィッシュマーケットも備えた海鮮料理「Al Dana」で、どちらも庭園内の独立した建物で海を臨むテラス席も用意している。また、2か所のスイミングプールが芝生に囲まれた敷地内にあり、そこからビーチまで足をのばせば、アラビア湾の美しい砂浜にゲスト専用のカバナが用意されている。

 シャルクビレッジで特筆すべきは、スパ「Six SensesSpa」であろう。スパ全体が一つのスーク(市場)をモチーフにしている。エスニックなエントランスからゲストに高揚感を与え、ペルシャの古いスークに迷い込んだ気分にさせる仕掛けとデザインだ。迷路のようなスパ施設を歩いているうちに無意識にアラビアンナイトの世界に居る事に驚く。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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