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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL75
ラ・レジデンス プーバオ La Residence Phou Vao

週刊ホテルレストラン 2014年7月11日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ラ・レジデンス プーバオ「La Residence Phou Vao」はラオスの古都、ルアンパバーンの小高い丘の上に建つ歴史と格式を誇るホテルである。ラオス独立以来、政府・官僚と軍関係者の接待用に使っていた瀟洒(しょうしゃ)な館を1980 年にホテルとして改装したものである。その歴史は長く、ルアンパバーンで最古のホテルの一つである。当初は「プーバオ・ホテル」の名称であったが、東南アジアに洗練された“ 隠れ家ホテル” を展開する「パンシー・ホテル・グループ」に経営が移り、2002 年の大改装後に再オープンした。06 年には「オリエント・エキスプレス・ホテルズ」(現Belmond)に経営が再移行し、フランス人デザイナーを迎えラオスの伝統建築スタイルを尊重した造りで改修を仕上げた。

 ルアンパバーンは長い間ラオス王国の首都として君臨した山あいの古都だ。1975 年の革命で王朝は廃止され共産主義政権が成立するまで王宮が置かれていた歴史を誇る。旧王都として落ち着いた雰囲気を漂わせ、95 年に町全体が世界遺産に登録されると世界中から観光客が急増している。現在でも旧王宮や寺院など数多くの歴史的建造物が残されており、早朝には僧侶による托鉢が見られる。

 レジデンス プーバオは二つのスイートと32室のJ・スイートだけのクオリティーの高いホテルで、部屋面積は最低でも55m²を確保している。館内に入るとエスニックな飾り付けや家具、上質なチーク材のフローリングに目を奪われる。筆者にアサインされた部屋は「Garden View Junior Suite」で、大きなガラスの引き戸を開けて眺めの良いテラスに出られる。また、夜のターンダウン後にはベッド全体にレースの蚊帳が下され独特の雰囲気となる。エントランスホール正面にオープンエアのメインバー「Doc Champa Bar」があり、アフタヌーンティーも楽しめる。隣接してメインダイニング「Phou Savanh Restaurant」が用意され、伝統的ラオス料理のほかにフレンチも評価が高く、ここはぜひプールサイド席で食事を堪能していただきたい。広い庭を散歩すると「Mekong Spa」にたどり着く。戸建風のトリートメントルームが並び、いちばん奥には専用のスパプールが用意され静かなひとときに癒やされる。

 ルアンパバーンは“アジアの原風景”が今でも色濃く残り、特に欧米からの観光客に人気がある。したがって高級ホテルの数は首都ビエンチャンよりはるかに多く、あのアマンの「Amantaka」が2009年に開業している。そんな中で“凧の丘”という意味の「プーバオ」は、町を見下ろす丘の上で優雅な風格と存在感を今も変わらず保っている。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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