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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL73
パークハイアット サイゴン Park Hyatt Saigon

週刊ホテルレストラン 2014年6月13日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 ホーチミン・シティーの中心、ラムソン・スクエアにある壮麗なオペラハウス「市民劇場」の近くに、ひと際目立つ白亜のファサードを持つ建物がある。フランス統治時代のフレンチ・コロニアルの気品を漂わせた「Park HyattSaigon」である。建物の裏手、緑が映える美しい中庭には大きめのスイミングプールがあり、地元のセレブリティ―や世界各国からのゲストで華やかな賑わいを見せている。2005 年に開業した比較的新しいホテルだが、立地の良さも手伝い、ホーチミンで最も格式を誇るランドマーク・ホテルに成長した。

 ベトナムは長いこと南北に分断された国家であったが、ベトナム戦争により南ベトナムは陥落し、北側からの包囲で統一が完成した。かつてのサイゴンはホーチミン・シティーと名を変えたが、現在もベトナム最大の商業都市である。首都ハノイのフランス風の趣ある穏やかな空気と比べて、ややアメリカナイズされた喧騒感が漂う街と言える。街の名前はホーチミンだが、“ 建国の父”「ホー・チ・ミン」と区別するため、鉄道駅の表示や空港の3 レターコードもSGN で、今もサイゴン名を併用している。

 パークハイアット サイゴンは21 室のスイートを含む全244室のゲストルームを擁している。一歩館内に入るとチーク材を多用した木の香りとノスタルジックな雰囲気に癒やされる。正面にレセプションデスク、右手に吹き抜けの明るいラウンジ「Park Lounge」とバー「2 Lam Son」がありアフタヌーンティーが人気だ。筆者にアサインされた部屋は「Park Room」で、約34㎡の面積ではパークハイアットのブランドにしては狭い感じがする。バスルームはガラスの引き戸で仕切られた洗い場一体型で使い勝手は良好だ。レストランはイタリア料理で広いテラスを持つ「Opera」、凝ったデザイン空間が自慢のベトナム料理「Square One」がある。これらは日本の杉本貴志氏が率いるデザイン集団「スーパーポテト」の創作で、ソウルのパークハイアットなどでも手掛けている。スパは中庭に面して「Xuan Spa」があり、8 室のトリートメントルームを備えている。

 通常、都市部にあるパークハイアットはクールなアーバン・コンテンポラリーが定番のコンセプトであるが、ここサイゴンではフレンチ・コロニアルとベトナム・スタイルが混在したレイアウトで心地よい癒やしの雰囲気が漂う。ただ、スイートを除きデラックスのカテゴリーが中庭に面した9 室だけで、残り客室の9 割弱がスタンダードという客室構成は単調で改善の余地があると思われる。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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