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  1. 世界のリーディングホテル

世界のリーディングホテルVOL66
ザ・リッツカールトン ウィーン The Ritz-Carlton, Vienna

週刊ホテルレストラン 2014年2月28日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

 クラシカルな古典的外観とコンテンポラリー感覚の内装インテリアが、これほど見事なまでに融合し調和がとれたホテルも珍しいと言えよう。ホテルの名はウィーンに初進出を果たした「Ritz-Carlton, Vienna」だ。かつて19 世紀には宮殿であった4棟からなる保護文化財の歴史的建物に大改修を施し、客室や館内パブリックスペースは都会的なアーバン・コンテンポラリーの内装でデザイン構成されている。4棟の宮殿の一部は昔のまま保存されており、クラシカルな大階段は皇帝フランツ・ヨーゼフのホテルインペリアルを彷彿させる。また4棟の接続部分は床と天井に微妙な段差が生じており興味を抱かせる箇所でもある。

 ホテルの建物はウィーンを代表する環状道路“ リンク”に面し、1865年から71年にかけて建てられた壮麗な宮殿であった。しかし館内に一歩入ると、今までのウィーンの名門ホテルには希薄であった革新的なデザインレイアウトに驚かされるであろう。屋上には斬新なコンセプトから誕生したルーフトップラウンジ「Atmosphere Rooftop Bar& Lounge」があり、美しいウィーンの街並みのパノラマを存分に堪能できる。またフィットネスにはスタイリッシュな“ 水中サウンド” が楽しめるスイミングプールを用意し高い評価を得ている。

 リッツカールトン、ウィーンは43のスイートを含む全202室のゲストルームを擁し、2012年8月に開業した。筆者にアサインされた部屋は上層階の「Club Room」で、約43m²の広さがあり7 階のクラブラウンジへのアクセス付きだ。特筆すべきは、専用のバルコニーが付属しており、居ながらにしてウィーンの街並みを肌で感じられる。レストラン・バーでは、伝統的オーストリー料理の「DSTRIKT」と「D-Bar」が美しいリンク側に面しテラスを設けて人気が高い。レセプション脇にあるオールデイダイニングの「Melounge Lobby Lounge」ではアフタヌーンティーが好評だ。スパ施設ではお馴染みの“ ゲラン”「Guerlain Spa」があり、6つのトリートメントルームを用意している。

 ウィーンはハプスブルク家の帝都として発展した音楽の都であり、世界でも有数の観光都市である。したがって、市内には歴史的な所謂“ 名門ホテル” が数多く存在し、ホテルの選択には嬉しい悲鳴が上がるかも知れない。そんな中で、重厚な佇まいの歴史的建物にモダンなデザインエッセンスを注入したリッツカールトンの開発コンセプトは高い評価に値する。今日も屋上のルーフトップラウンジは地元のセレブリティーで終始賑わっている。

筆者 小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健(株)代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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