世界のリーディングホテルVOL34
ザ・ペニンシュラ・シカゴ The Peninsula Chicago

週刊ホテルレストラン　2012年10月26日号掲載

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

　シカゴを代表するメインストリートであるノース・ミシガン・アベニューは、別名“魅惑の1マイル”「The Magnificent Mile」と呼ばれる美しい通りだ。ニューヨークの5thアベニューと対比され、高級ブランドショップ、レストラン、ホテルが建ち並ぶ世界有数の大通りである。ザ・ペニンシュラ・シカゴはこの華やかな通りのほぼ中央に立地している。2001年にオープンして、去年開業10周年記念を催したばかりの新しいホテルだが、「Institutional Investor」誌のトップ100ホテル選出の常連でもある。09年にはトップ10の第4位にランクインした評価の高いホテルだ。

　堂々とした店構えのティファニー・シカゴ本店からスペリオール通り側に入った所に、ツインの獅子を置いた正面エントランスがある。ベルキャプテンの案内で5階までエレベーターで上がると巨大なコリドーのエントランスホールがあり、その正面にコンシェルジュデスクが見える。コンシェルジュ左手に機能的なレセプションカウンターがあり、右手にはペニンシュラ香港でお馴染みのロビーラウンジ「The Lobby」が華麗な装いでゲストを迎えてくれる。優雅な雰囲気で楽しむアフタヌーンティーは人気が高い。ここから1階下がると評判の中華レストラン、シャンハイテラス「Shanghai Terrace」がある。1930年代を思わせるクラシカルな雰囲気で上海、広東料理を堪能できる。ユニークなのは、ここから直接ザ・テラス「The Terrace」に出られ、オープンエアのガーデンで心地よい風を受けながら飲茶やディナーを楽しめる。

　ホテルはスイートを含め全339のゲストルームを擁し、建物はすべて道路に面して4方向の眺望を得られる多彩な客室構成だ。スタンダード・タイプの「Superior Room」でも約50m²もありシカゴ最大級の客室面積である。アサインされた「Executive Suite」は約74m²の広さがあり、ドレッシングエリアを挟んで両サイドにリビングとベッドルームがそれぞれ角部屋として配置されたレイアウトになっている。また、バスルームはビューバス・タイプで、居ながらに美しいシカゴの街並みを眺められる。スパの「ThePeninsulaSpa」は最上階にあり、ジムやスイミングプールと連結している。高い天井と全面ガラスで囲まれたスイミングプールは25mの広さが確保された温水プールだ。ここから眺めるミシガン湖は素晴らしく、さらにプール脇からオープンエアのテラスに出られる。デッキチェアから眼下に“魅惑の1マイル”も俯瞰でき、充分楽しめる施設だ。

　ホテルに隣接した広場にはシカゴのランドマークである「Chicago Water Tower」が建っている。全米で2番目に古い「給水塔」で、国家歴史登録財に選定された歴史的建造物である。ニューヨークで言えば、ザ・プラザの前にある広場といった趣で、多くの観光客でにぎわっている。ザ・ペニンシュラ・シカゴは、まさにシカゴを代表するビジネスと観光の中心地に建っていると言えよう。

筆者　小原康裕
ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健（株）代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。ホテルだけにとどまらず、オリエントエクスプレスなど鉄道関係の掲載、季節刊行で世界遺産の案内などさまざまな情報が得られる。www.jhrca.com/worldhotel

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