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  1. あの人に聞きたい!

あの人に聞きたい

質問

当ホテルは、地方の個人の料亭から旅館になり、バブル時期にホテルに改装されました。オーナーは地元では名士でいろいろと付き合いが多く宴会は受注できても、低価格でしか受けられず、その上オーナーからサービスとして割り引きしたり、会場費・送迎バス等の無料で一向に売上げは上がりません。
そして、累積の借入金の支払いで資金が底を付き、慢性の債務超過で業者の方への支払いは遅れ、高価格で仕入れをしなくてはならず、負のスパイラル状態です。
管理職の給料の遅配は一度ではなく、昨今話題の企業支援基金の支援を受ける為に錯綜していますが、決まる前から館内改装等の高額の負債が増えております。
売上げの為の改装と言われれば分かるのですが、取引業者の方からは「改装する予算があるなら累積の支払いを済ませて欲しい」と迫られております。
従業員の中では管理職に入る自分はどうして良いのか分かりません。

回答者

飯島幸親氏
飯島幸親氏
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田中勝氏
田中勝氏
株式会社 MT J-ホスピタリティ
代表取締役
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飯島幸親氏 回答

個人オーナーの料亭、旅館から発展、不見識なワンマン・メンタリテイ・オーナーのホテルは地方には良くあるケースです。このような”むちゃくちゃ経営”は結論的には倒産は刻々と迫っているのが現状だと思います。

根本的な課題

  • ・ホテルの財務、会計担当責任者が法律に照らしてガラス張りで、明確に処理されているかを確認する
  • ・部門別会計を導入、正確なコスト計算を各部署で算出し可能な限り社員にオープンにする
  • ・オーナーと運営者間において、オーナーの責任/総支配人の責任分担を文書化する
  • ・どんぶり勘定ではなく数字を基本に事実での運営を判断、数値目標(3本柱の法則、例えばバランス・スコアカード等)を重視
  • ・「オーナーだから」とビジネスを情に流されたり感情的に経営したりしない。(明確で公平な割引等の規定が必要で、規定以外の割引等はその差額をオーナー側に請求すること)。
  • ・貸し出し銀行責任とオーナー側の負債、累積責任が明確でない。
  • ・明確なコスト意識をオーナーから総支配人はじめ社員全員にまで徹底する。
  • ・改装は必要ですが、その判断は現状の経営事情を見極め決断すべきである。
  • ・給料が滞る、業者への支払いが遅れる等はオーナー、ホテル会社社長の責任が果たされていない事で法律に触れた不当行為である。
  • ・従業員・管理職に関わらず労働基準監督署に事実を訴える事。
  • ・残念ですが総支配人はじめ幹部は無論、一般社員も他に仕事を探し始める事も必要です。

一日も早くプロの第三者企業が入って根本からの改善、改革の見直しが必要です。

飯島幸親
プロフィール
飯島幸親(いいじま ゆきちか)
1942年東京生まれ。成城大学経済学部卒業後、帝国ホテル、札幌グランドホテルなどで料理人としてのキャリアをスタート。 センチュリープラザホテル、ベルエア・カントリークラブなどを経て、シアトルマリオットホテル、サンディエゴ・マリオットホテル&マリーナで総料理長を歴任(サンディエゴ・マリオットホテル総料理長時代はウエストコーストの38ホテルのリージョナル・エグゼクテイブシェフ)。
マリオット・コーポレート・シェフ・グループ・アドバイザリー・ボードメンバー。マリオット・インターナショナル・インコーポレーテッド日本・韓国担当リージョナル・マーケット・オペレーション部長、岐阜および札幌のルネッサンスホテルで総支配人代行、JWマリオットホテル・バンコク、ワイキキ・ビーチ・マリオットホテルのオペレーションディレクターなどを歴任。
2006年横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズに着任しホテル運営のグローバル化と社員を大切にする会社作りに貢献。結果として健全な利益体制基盤の確立(1年目の5億円目標を達成)現在は日本とサンディエゴを行き来しながらこれからの世界でグローバルに活躍できるホテリエを育成するために精力的に活動している。

田中勝氏 回答

お立場が不明でございますので、私のお答えが適切かどうかは自信がありませんが、人生の先輩としてお答えさせていただきます。

私もビジネス・ライフ約40年、24歳の時から、オーナーの傍らで仕事をしてきましたので、オーナーと社員の関係はそれなりに理解をしているつもりです。ここでは、経営的なアドバイスよりも考え方をお話させていただきます。

状況はよく分かりかねますが、大なり小なり、同じような体験をされている方は、世の中には多いと思います。しかし、視点を変えてみる必要もあるかと思います。

優しく考えれば、オーナーには、社員には話せない事情があることも多々あります。私でしたら、あまり深く考えず、

(1)自分の出来ることを、自分の為に精一杯やることに専念する。

オーナーが割引し過ぎ、と言いますが、全体の何%に当たるのですか?
私ならオーナーが割り引き出来るよう、他で稼ぐ努力を楽しみながらしますね。また今までそう考えて仕事をしてきました。 オーナーの宴会またオーナー紹介のお客様には最高のサービスをし、自分の顧客にしてきました。

(2)自分の人生ですので、方針に納得出来ないのなら、健康上も良くないので転職を計画的に考える。

なぜなら、自分が影響を及ぼすことが出来ないことにくよくよしても、損をするのは、自分だからです。
「いや、とんでもない。私は会社を愛しているし部下にも責任がある」、とお考えでしたら、やることはただ一つ。

オーナー及びオーナーの家族を含めた周辺の方々の信頼を勝ち取るために全力を尽くすことです。周りからは、オーナーに“おべっか”ばかり使って、と言われようと、信頼獲得に邁進すべきです。まず最大限の信頼を得ない限り、(それでも難しい時もありますが)、あなたの正当な発言は受け入れられることは、絶対にないと思います。自分の今の最大の責務は、“オーナーの信頼の獲得”と割り切ることです。そして、信頼を得られたら、少しずつ、現状改善のための意見を裏付けをもって、具申することです。

自分で言うのもなんですが、私はオーナーの信頼を得ることに全力を尽くし、信頼を得、具申をかなりしてきました。
「おまえの顔なぞ見たくない」と言われたことも何回もありますが、会社を辞めた今日でも時々お会いしています。

一番駄目なのは正義感ぶって、プロのホテルマンとして割り切りが出来ない人です。そこまで、頑張って駄目なら、前にお話ししたように、仕事のみに集中するか、転職すべきですね。自分の人生を大切にしてください。

プロフィール
田中 勝(たなか まさる)
国内外でのホテルマネジメント経験を通じてグローバル・ホテル・マネジメントの手法を学ぶとともに、迎賓館支配人時代には数多くの国賓を迎える中でサービスの真髄を学ぶ。それらを生かして、東京・横浜のインターコンチネンタルホテルでは輝かしい実績を残し、インターナショナルな経営センスと独自の人柄により、ホテルスタッフからは「伝説的カリスマ総支配人」と呼ばれるなど、数々の伝説を持つ。現在はホテル産業経営塾塾長を務める傍ら、大学でも教鞭を取り、また、コンサルティングや講演で数々の実績を持つなど幅広く活躍している。
株式会社 MT J-ホスピタリティ 代表取締役 http://www.mt-jh.co.jp/
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